東京高等裁判所 昭和38年(ネ)2008号 判決
控訴人
榎田熊一
外一名
代理人
桂秀哉
被控訴人
鈴木周太郎
代理人
大友秀男
主文
原判決を取消す。
当審における控訴人等の請求を棄却する。
訴訟費用は第一、二審を通じ全部控訴人等の負担とする。
事実
控訴代理人は当審において請求の趣旨を変更し「原判決を取消す。被控訴人は控訴人等に対し、控訴人等から金五六万六、七〇五円の支払を受けるのと引換えに原判決添付目録記載の家屋を明渡せ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め被控訴代理人は主文と同趣旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用、認否はつぎの点を附加訂正するほかは原判決事実摘示のとおりであるから右記載を引用する。
(控訴人等の主張)
(一) 控訴人等は原審において本件家屋のうち被控訴人が訴外高折ミサヲに賃貸した階下七坪五合を除いたその余の部分について明渡を求めていたが、当審においては右建物全部の明渡を求めると共に被控訴人の明渡義務と控訴人等の本件売買残代金五六万六、七〇五円の債務とは同時履行の関係にあるので前記のとおり請求の趣旨を変更した。
<以下中略>
(被控訴人の主張)
(一) 被控訴人が控訴人主張の部分を訴外高折に賃貸していることは認める。
<以下省略>
理由
<前略>
五、してみれば控訴人等の請求はその余の当事者双方の主張について判断するまでもなく失当であり、結論においてこれと同趣旨の原判決は正当である。
当審に於いて控訴人等は請求の趣旨を変更し原審に於いて求めていた一部明渡を全部明渡に変更し此についての裁判を求めるのであるから、原審に於ける訴訟物は消滅したと同様に解すべきで、従て理論上は此について特に控訴棄却乃至原判決取消の判決を言渡す必要はないのであるが、確認的の意味において原判決を取消すべく、且つ当審における控訴人等の本訴請求を棄却し訴訟費用は民訴法第八九条第九六条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長判事鈴木忠一 判事谷口茂栄 加藤隆司)